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S**N
ハート理解に不可欠
ご承知のように,ハートの学説,特に内的・外的視点の具体的内容については,ハート自身の考え方に変遷があります。また,その変遷は,The Concept of Law (1st ed. 1961) で示されたオリジナルの理論における間隙を,弟子や批判者が突いたことに対する応答の産物であることも,周知のとおりです。 本書は,ハートと個人的にも親しかった著者が,批判の刃を程よく抑制しつつ,ハート理論の全体像を回顧的に彫琢したものといってよいと思います。本書の初版に対しては,ハート本人が「私はそこまで自然法論に近い立場は採らない」と留保(クレーム?)を付したそうですが,そのようなギャップを差し引いたとしても,マコーミックによる整理は明解で,かつハート理論の課題を浮き彫りにしてくれています。 ただ,この分野やテーマについてある程度の予備知識をもつ読者を前提に書かれているようで,行論については部分的に注意が必要なところがあります。晦渋だという意味ではなく,一般的な法理論の教科書や研究書類では脚注が付されている箇所に,それが付されていないことが多い,という程度の意味です。 レヴューアーの場合,ハート本人の主要著作に目を通した後に,うまく理解できない箇所について手がかりを得るために本書を参照しましたが,このような使い方で正解だったと感じています。いずれにせよ,「なるほど」と思わせられる発見がある一冊です。
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